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コンパクトディスク

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メディア (媒体) > 記録媒体 > 電子媒体 > 光ディスク > コンパクトディスク
コンパクトディスク
Compact Disc, CD
CD logo.png
コンパクトディスク
メディアの種類 光ディスク
記録容量 12 cmディスク
650 MB・700 MB・800 MB
8 cmディスク
155 MB・185 MB・210 MB・300 MB
読み込み速度 1.2 Mbps
(1411.2 kbps、1倍速)
最高72倍速
読み取り方法 780 nm 近赤外線レーザー
策定 フィリップスソニー
主な用途 音声、映像、データ(ゲームソフトを含む)
ディスクの直径 12 cm、8 cm
大きさ 120×120×1.2 mm
80×80×1.2 mm
上位規格 Super Audio CD
DVDオーディオ
DVD
関連規格 CD-DA
CD-V
CD-ROM
CD-R
CD-RW
Video CD
DDCD
テンプレートを表示
CDの記録面

コンパクトディスクCompact Disc; CD、シーディー)とは、デジタル情報を記録するためのメディアである。

光ディスク規格の一つでレコードに代わり音楽記録するため、ソニーフィリップスが共同開発[1]した、第1世代光ディスクである。その後コンピュータ用のデータなど、派生規格の普及により音楽以外のデジタル情報収録(画像や動画など)に用いられる[2]

消費者向けデジタルオーディオでは最初の供給媒体で、1982年に商用音楽ソフトが発売された。その後1990年代後半からはCDと同じサイズでCDより高音質のSuper Audio CDDVD-Audioなどの次世代オーディオメディアが登場したが、CDを置き換えるには至らなかった。しかし2000年代以降はインターネットによる音楽配信ストリーミング配信が増加し、2010年代以降はハイレゾなど配信データの高音質化やレコードの再評価により、音楽供給媒体としての売上は減少してきている。

歴史[編集]

名称と寸法のルーツ[編集]

この記録メディアに「コンパクト」という言葉が使用された理由は、フィリップス社の意向によるところが大きい。

開発段階でフィリップス社が提示した試作品は、コンパクトカセットの対角線と同じ直径11.5 cmで、名称の一貫性が図られていた。その後ソニー側の提案で収録時間を延長したため、実際には直径12 cmとなった。

また、レーザーディスクの総本山がフィリップス社であり、そのディスクサイズが30 cmだったことにも由来する。これはLPの大きさを参考に設計されたためである。

年表[編集]

ソニーのCDプレーヤー1号機
  • 1965年、アメリカの発明家ジェームス・ラッセルが音楽用光学メディア・テクノロジーを発明。
  • 1970年代前半、フィリップスMCAレーザーディスクを開発。
  • 1975年ソニーが光ディスクの開発を開始。
  • 1977年、フィリップスがCDの開発を開始。ソニーがオーディオフェアでの光デジタルオーディオディスクを実証。
  • 1979年、フィリップスがCDプロトタイプを示し、ソニーと共同開発を開始。
  • 1981年、ドイツでテストCDが製造。
  • 1982年
    • 8月17日、当時の西ドイツのハノーファー(ハノーバー)のランゲンハーゲンにあるポリグラムの工場で、世界で初めてCDソフトの生産が開始。(追って当時のCBSソニー、日本コロムビアが続く)[3]
    • 10月1日、日本でソニー、日立製作所Lo-Dブランド)、日本コロムビアDENONブランド、日立のOEMで発売)から、世界初のCDプレーヤーが発売。
      • ソニーの第1号機はCDP-101で168,000円。日立の第1号機はDAD-1000で189,000円、日本コロムビアの第1号機はDCD-2000で価格は日立製と同じ。
    • 10月1日、CBS・ソニーEPIC・ソニー日本コロムビアから、世界初の音楽CDソフトが発売された。
      • 音楽CDソフトの初回発売は、CBS・ソニー、EPIC・ソニーが合わせて約50タイトル、日本コロムビアが10タイトルだった。このうち最初に生産が行われたのはビリー・ジョエルの『ニューヨーク52番街』(CBS・ソニー/35DP-1)[4]
      • 同時にレコード店で取り扱いが始まり、当初は「レコードよりも音質がよく、ノイズがないニューメディア」として扱われた。レコードと同商品のCD版として売られ、価格もレコードよりも約2割ほど高かった。価格は各社共に当初、デジタル録音音源では1枚3,800円、アナログ録音音源では1枚3,500円だった。当初は歌詞カードは中綴じ製本冊子ではなく、LPと同じ1枚もののライナーノーツを4つ折にしてCDケースに封入する例が多かった。ジャケットのサイズ感に対しコンパクト・ディスクのマークが大きくデザインされ、LP発売時にはカラー刷りの歌詞カードだったものも、白黒でなったものも多く、デザインはあまり力が入っていなかった(後に藤井隆が自身のアルバム等にわざとCDマークなどを取り入れている)。
    • 10月15日、欧州で初めて、フィリップス製のCDプレーヤー及びポリグラム製のCDソフトが発売された。両者共に日本でも輸入販売され、前者はマランツブランドにて、後者はポリドールと日本フォノグラムから、欧州から5日遅れで同時に発売された[3]
  • 1983年米国およびその他の市場でも、プレーヤー・ソフト共に販売が開始された。
    • 9月、日本コロムビアからも自社開発・製造によるCDプレーヤーが発売。受注生産として業務用CDプレーヤー1号機のDN-3000FC(180万円)が発売された。
    • 12月、日本コロムビアから自社製家庭用CDプレーヤー1号機のDCD-1800(159,800円)が発売。独自機能「スーパーリニアコンバーター」を搭載して話題を呼んだ。
  • 1984年、ソニーから5万円を切るポータブルCDプレーヤー、D-50(49,800円)が発売され、普及に拍車がかかった。ちなみに原価率は200%で、1台売るごとに5万円の赤字が出た。
  • 1985年、当時の西独のポリグラム社により、AAD, ADD, DAD, DDDといった表記が印刷されるようになり、その後この表記は他社も使用するようになる(レコード会社によっては Digital RecordingDigital Mastering など異なった表記がされているものがある)。最初の文字は「レコーディング方式がアナログかデジタルか」、2番目の文字は「ミックスダウンならびに編集の方式がアナログかデジタルか」、3番目の文字は、「マスタリング方式がアナログかデジタルか」を表す。アナログレコードでもこの表示が為されていた商品があり、CDは商品がデジタルメディアであるため3番目の文字は常に「D」である。この表示は日本ではすぐに廃れるか他の表記に変更されたが、輸入盤CDやクラシックジャズなどの作品には未だにこのマークが印刷されているものがある。
    • AAD」と表示されたCDとは、デジタル・レコーダーが実用化される以前に、あるいは実用化後であっても、製作者の意図で敢えてアナログ方式でマルチ録音されたソースを元に、アナログ・レコーダーでミキシング、あるいは2chアナログレコーダーで直接録音するというフルアナログ工程で製作したものを、デジタル・マスタリングしたという意味である。
    • ADD」と表示されたCDとは、デジタル・レコーダーが実用化される以前に、あるいは実用化後であっても、製作者の意図で敢えてアナログ方式でマルチ録音されたソースを元に、デジタル・レコーダーでミキシング、あるいは2chデジタルレコーダーで直接録音したものを、デジタル・マスタリングしたという意味である。
    • DAD」と表示されたCDとは、デジタル・レコーダーの実用化以降にデジタル方式でマルチ録音されたソースを元に、アナログ・レコーダーでミキシングしたものを、デジタル・マスタリングしたという意味になる。
      • これは、初期のデジタル録音がアナログ・テープのような編集が難しかったことや、デジタル信号を直接処理できるミキシングコンソールが普及する以前には、デジタルマルチ録音されたソースであっても、ミキシング時にはマルチトラック信号をアナログ変換→ミキシング→デジタル変換→2chレコーダーにデジタル録音という信号変換処理を要したことから、敢えてドルビーSRなどの高性能なノイズリダクションと組み合わせる形でアナログ・レコーダーを使用してミキシングや編集を行う事例があったことによる。
        • 邦楽ポップスでは、浅香唯マイカルハミングバード在籍時代の後期に発表したアルバム(現在廃盤)の一部に、「DAD」で制作された例があり、ライナーノーツの最後にドルビーSRを併用してミックスダウンに使用した旨が記述されていた。
        • XRCDでは、オリジナルが16ビットデジタル録音の場合、一度24ビットD/Aコンバーターでアナログ信号に変換し、専用マスタリングコンソールから直接そのアナログ信号を出力し、24ビットD/Aコンバーターでデジタル信号に再変換して、CDマスター用の光磁気ディスクに収録するという、敢えてアナログ処理を介在させる手法が取られている。
  • DDD」と表示されたCDとは、デジタル・レコーダーの実用化以降に、デジタル方式でマルチ録音されたソースを元に、デジタル・レコーダーでミキシング、あるいは2chデジタルレコーダーで直接録音するというフルデジタル工程で製作されたものを、デジタル・マスタリングしたという意味である。
  • 1986年、販売枚数ベースでCDがLPを追い抜いた。これは、レコード会社が親会社であるオーディオメーカーに配慮してレコード生産を縮小したことも影響している。
  • 1986年末、CD発売当初から当時のデジタル録音の音質に疑問を持っていたキングレコードは、CD化の流れに反し、高音質重量盤仕様のアナログLPレコード「ザ・スーパー・アナログ・ディスク」を発売。マスターテープはすべてアナログ録音のものが使われ、マスタリング・カッティング工程でデジタル処理を介在させないことを特徴とした。デッカ・レコードの旧譜の再カッティングが主体だったが、自社製作音源では、CDではデジタル録音のマスターを、「ザ・スーパー・アナログ・ディスク」では同時に録音されたアナログマスターを使ったものもあった。これが「CDより音質が良い」と反響を受けてシリーズ化された。
  • 1987年 日本のウルテック社が開発した、反射膜に24Kの純金を使用した「GOLD CD(24K純金CD)」が、Mobile Fidelity Sound Lab、日本コロムビア等から発売された。他社もそれに追随したが、1995年日本ビクターが発表した高音質仕様CD「XRCD」が登場してからはあまり発売されなくなった。
  • 1989年以降、CDは定価を次々と下げ低価格化が進み、規格品番に定価を思わせる数字を表記しなくなる。
  • 1990年代前半にかけ、LPは一般的には生産されなくなっていく。
  • 1990年代中期頃からは、キングレコードの高音質アナログレコードのシリーズ化も影響し、欧米でステレオ初期の米RCAビクターや英デッカを始めとするオリジナルの高音質復刻盤が続々と発売。またクラブ音楽の世界的流行もあり、アナログレコードが見直されて再燃する。
  • 2000年代に入り、音楽配信サービスの普及により、世界的にCDの売上が減少傾向となる(CD不況)。
  • 2006年ガラス基板を用いたガラスCDが発売。音質向上を謳う一方で、コスト上昇やプレーヤーの互換性について欠点も挙げられる。
  • 2008年、CDの保護層に液晶パネル用のポリカーボネートを採用したスーパー・ハイ・マテリアルCD(SHM-CD)が登場。それが一定の評価を得たことを受け、追随する形でハイ・クオリティCDブルースペックCDが同年に販売された。
  • 2010年以降、アナログレコードの再評価により、欧米だけでなく日本国内でもアナログ盤が再生産されるケースが増える。
  • 2014年国際レコード産業連盟(IFPI)の調査で、全世界でのCD、レコード等のパッケージ売上高が音楽配信の売上高を下回る[5]
  • 2020年上半期の米国では、CDの売上がレコードの売上を下回る[6]

仕様[編集]

CD表面の顕微鏡画像
サイズ
コンパクトディスクの外見は直径12 cmまたは8 cm、厚さ1.2 mmの円盤状からなる。
一般に販売されているCDのほとんどは円形(円盤状)だが、商用音楽CDなど記録済みCDの一部には円形でないCDや[注釈 1]「名刺型CD」や「カード型CD」の通称で呼ばれていたもので8 cmCDを切り取り周囲をコーティングした四角いCDも存在した。これらはCD-Rとして書き込み可能な物も市販されていたが、本来書き込み可能な部分が形状の都合で切り取られたことで省略されているため、通常8 cmCD-Rよりも書き込める容量が少なかった。
素材
プラスチックで作られている。プラスチックの材質は一般的なものはポリカーボネートで、ほかにAPO非晶質ポリオレフィン)やガラスを使用したものもある。
記録層にアルミニウムのかわりにを使用したものもあり、「ゴールドディスク」と呼ばれる。
読み取り方法
読み取りに780 nmの赤外線レーザーが用いられ、照射したレーザー光の反射を読み取る。
構造
レーザー光を反射させるため、コンパクトディスクは鏡のような役割を持ち、レーザー光を反射する厚さ約80 nmのアルミニウム蒸着膜と厚さ約10 µmの保護層、レーベルなどの印字膜の複数の層を重ねた構造になっている。
上から印刷層、保護層、反射・記録層、樹脂層で、記録層の部分は印刷面から10 µm (0.01 mm)、樹脂層から約1.2 mmの所にある[注釈 2]。そのため、印刷面からの衝撃に弱く鉛筆やボールペン等、フェルト以外の油性マーカーで記入を行うと記録層にダメージが加わり音飛びなどの症状が出ることもある。最悪の場合読み込めなくなる可能性も考えられる。印刷層側に深い傷が入ったり湿度の高い場所に放置すると、記録層をのぞき反射層までがはがれることがある。レーベルのデザインによるが、2012年現在では反射層と印刷層が穴の部分まで拡大されたものが主流となっている。
ディスクには細かいくぼみが彫られており、このパターンによってデジタル情報を表現している。この読み取り面から見れば出っ張りになるくぼみをピットといい、ピットのない部分をランドという。ランドの部分に当ったレーザー光は反射してそのまま戻ってくるが、ピットがある部分に当ったレーザー光はランドからの反射波と1/2波長の位相差をもつため干渉して打ち消しあい暗くなる。
この明暗によりデジタル信号を読み取り、これをアナログ信号に戻して音声として出力する。ピットの幅は0.5 µmで長さは0.83 µmから0.3 µm単位で3.56 µmまで9種類、ピットから次のピットまでの距離も同じ9種類である。またピットの列をトラックというが、このトラックは1.6 µm間隔で、内側から外側に向かって渦巻状に並んでいる。
CDの虹色のような光沢は、この規則正しく並んだトラックで回折した光が、干渉することによる構造色である。
記録方式
データをピット列として記録するにはEFNという変調方式が用いられる。また誤り訂正CIRCが使用される。短いバーストエラーからの誤り訂正を行う符号として「リード・ソロモン符号」を提案したのは、フィリップスのCD開発チーム責任者である。
コンピュータのデータ保管等、1 bitの誤りも許されない用途には追加の誤り検出、訂正が行われている。

容量[編集]

1枚のコンパクトディスクはCD-ROM形式の場合、12 cmディスクは約650から700 MiB、8 cmディスクは約155から300 MiBの容量を持つ。CD-DA形式での収録時間は12 cmディスクでは約74から80分である。

セクタ数は12 cmディスクの650 MiBでは約333,000セクタ、700 MiBでは約360,000セクタになる。1セクタは2,352バイトで、1セクタあたりのデータ容量はCD-ROM MODE1およびMODE2/FORM1で2,048バイト、MODE2で2,336バイト、MODE2/FORM2で2,324バイト、CD-DAで2,352バイトである。CD-ROMはCD-DAよりも規格が後に作成され、その際にエラー訂正がより重視されたため、2,352バイトのうち304バイトをヘッダやエラー訂正などに割り当てていることからCD-DAより容量が少なくなる。一部では800 MiBを超える容量のものもあるが、一部の機器では読み取れない場合がある。これに加えてサブチャンネルが1セクタあたり98バイト[注釈 3]存在するので、1セクタ当たり2,448バイトとなる[7][8]

Pチャンネル
各トラックの開始点情報
Qチャンネル
ISRCコードやMCN(メディアカタログ番号)、アドレス情報
R-Wチャンネル
CD-TEXTCD+Gで使用

なお、この650 MiBという容量は以下の計算式によって求められる。CD-DA形式では音楽データをサンプリング周波数44.1 kHz、ビット深度16 bit、チャンネル数2.0 chステレオで記録している。つまり1秒分の音楽データを44,100回に分割し、1回あたり16 bitを費やして記録している。このため、1秒分のデータ量は44,100×16×2÷8=176,400バイト(1バイト=8 bit)である。これが74分だと176,400×60秒×74分=783,216,000バイトとなり、これは約747 MiBとなる。全領域に音楽データだけを記録するならこれだけの記録が可能だが、CD-ROMのMODE1およびMODE2/FORM1の場合はエラー訂正用データ等が入るため、使用できる容量は783,216,000÷2,352×2,048=681,984,000バイトとなり、これが約650 MiBとなる。80分ディスクも同様の計算でCD-DAのみの場合は846,720,000バイトで約807 MiB、CD-ROMのMODE1およびMODE2/FORM1の場合は737,280,000バイトで約703 MiBとなる。

最大収録時間[編集]

音楽用途の場合、規格上デジタルのPCM形式で最大79分58秒、99トラック音楽が記録でき、また1トラック中には99インデックス(位置決め標識)を設けることができる。2000年頃までのプレーヤーは、インデックスサーチできるものが多数存在した。

記録トラックの幅を狭めれば容量は増やせるが、古い音楽CDプレーヤーには稀に74分記録されたCD-Rは再生できても80分以上は再生できないという互換性の問題が存在する。2003年に策定されたガイドライン High Capacity Recordable Disc 1.0に対応していないCDプレーヤーでは長時間CDは再生できない。MP3ファイルをデータとして書き込んだ場合、最大収録時間はファイルのサイズにもよるが概ね8時間前後となる。ただし、対応機器は限られる。

CD初期の最大収録時間(74分42秒)が決まったいきさつについて、開発元のソニーによれば以下の通りである。開発の過程でカセットテープの対角線と同じでDINに適合する11.5 cm(約60分)を主張するフィリップスに対し、当時ソニー副社長で声楽家出身の大賀典雄が「オペラ一幕分、あるいはベートーヴェン第九が収まる収録時間」(12 cm、74分)を主張して調査した結果、クラシック音楽の95%が75分あれば1枚に収められることからそれを押し通した[9]。その大きな要因となったのが、指揮者のカラヤンであった。

開発当時、大賀典雄は、親交のあったカラヤンに、11.5 cm(60分)と12 cm(74分)との二つの規格で二者択一の段階に来ていることを話すと、カラヤンは「ベートーヴェンの交響曲第9番が1枚に収まったほうがいい」と提言した。指揮者によって変わるが、カラヤンの「第九」は約63 – 69分であり、ほとんどのヒストリカル指揮者による演奏時間は60分を超えていた。結果的に74分(最大80分も可能)という収録時間は、1951年にライヴ録音されたフルトヴェングラー指揮のいわゆる「バイロイトの第九」(演奏時間およそ74分32秒)や、それに匹敵する長さであるカール・ベームレナード・バーンスタインの演奏も、コンパクトディスク1枚に収めることが可能になった。

この話は、大賀がフィリップスを説得するためにカラヤンの名を引き合いに出したという見方があるが、カラヤンが音楽媒体のディジタル化を望んでいたことは事実である。しかしそれ以上の最大収録時間の長大化には、ソニーとフィリップスが躊躇したため、なかなか74分以上の長時間ディスクは1980年代には現れなかった。そのせいもあって、CD-BOXとして200枚以上のセット販売も依然として存在している。

8 cmCD(CD SINGLE)の最大収録時間は約22分程度。これは、CDビデオのオーディオパートとビデオパートを分けそれぞれ開発した際に由来。8 cmというサイズはケースに収納したときレコードシングル盤ケースのちょうど半分のサイズとなるため、小売店でレコード用の棚を使いまわせるだろうと考えたためである。

現在の収録時間最長の音楽CDは、マーキュリー・レーベルにザンクト・フローリアン・アルトモンテ管弦楽団/レミ・バロー(指揮)が録音したブルックナー:交響曲第3番 (GRML99044)の89分03秒である。Eight-to-fourteen modulationが定めた[10]規格上は97分26秒まで可能であるが、YAMAHAほかのメーカーのドライブはすでに99分59秒まで対応し、100分収録を謳うCD-R商品もすでに発売されている[11][12]2019年現在までに990 MBのCD-Rまで開発されたので理論上は110分強がコンパクトディスクの最大収容量になるが、商用録音でこの収録時間はまだ出ていない。一時期にはソフトウェアにオーバーバーンモードまで設け、990 MBまで対応することを謳ったCD-Rドライブもあった。

現在市販されている最大の音楽用コンパクトディスクは台湾とポーランドで販売された99Min 870 MB[13][14]とドイツで販売された100Min 900 MB[15]であるが、両方とも頒布国が限定されているうえドライブ未対応といった問題が残っており、普及率は低い。CDを焼くソフトウェアはすでに90Min 800MBへ対応している。

2020年代は、90分CDがほぼ商用面で実用化しており、DECCA[16]やNAXOS[17]に90分CDを使用したクラシック音楽のためのコンパクトディスクがある。

転送速度[編集]

音楽CD(CD-DA形式)の再生時のデータの転送速度は1倍速で約176 KB/s(150 KiB/s) であり、これを基準として最大記録時間は640 MiBのディスクで約72分強、650 MiBのディスクで約74分強、700 MiBのディスクで約80分強、最新の800 MiBのディスクで約90分強[18]、非公式の900 MiBのディスクで約100分強、非公式の990 MiBのディスクで約110分強となる。この音楽CDの1倍速を基準として、ディスクのデータ転送速度を表すのに「○倍速」という言い方をする。

タイトル曲・カップリング曲[編集]

レコードでは表をA面・裏をB面と呼んでいたが、CDには1面しかないのでポピュラー音楽CDシングルなどの場合はレコードでのA面曲に相当するものを「タイトル曲(表題曲)、B面曲に相当するものを「カップリング曲」などと呼び分けている。後者は「… をカップリングしている」を意味する英語の「coupling with …」を短縮した「C/W」と表記されることもある。

ただし、「タイトル(表題)曲」を2曲以上入れたCDシングルはCDであっても「両A面」「トリプルA面」「マルチA面」などという呼び方をすることが多い。


なお、CD時代に直結して、カップリング曲がいわゆるB面曲との認識が解かれたのは快挙である。タイトル曲に続いて直結で聴かれるようになってからは『B面曲だからね~』と揶揄されることもなく、続けて聴かれるようになり、(クウォリティが)底上げされていったのは快挙である。

規格[編集]

当初から音声・映像記録媒体として開発された。物理フォーマットは先に決まっており、音声記録ディスクの論理仕様が先行して策定された。少し遅れてビデオ記録用としてCDビデオが策定されたが、普及しなかった。後にデータ記録用としてCD-ROMビデオ記録用としてビデオCDなどの論理仕様が策定された。これらと対比して音声記録ディスクをCD-DAという。

また音声とデータを両方収録できるようにしたCD EXTRA及びミックスモードCD、CD-ROM XAがある。

さらに記録にピットを用いずに、レーザーによる媒体の物理的変化を利用して同等なデジタルデータの書き込みを行う方式が開発された。CD-Rはエンドユーザがデータの追加記録ができる。また、記録してしまった領域を取り戻し、空き領域として記憶領域を再利用することができないCD-Rに対して、CD-RWはデータの消去を可能にし、書き換えができる。

コンパクトディスクの仕様・規格は対象とする範囲や目的によって複数の規格に分かれており、各規格基準書の表紙の色によってそれぞれが呼び分けられている[19]

(以下、「規格名 / 対象範囲」)

  • レッドブック / 物理仕様, CD-DA, CD-G, CD-EG, CDV, HDCD, CD-MIDI, CD-TEXT, CD SINGLE - 音楽用CD
  • イエローブック / CD-ROM - 主にコンピュータ・データ用のCD
    • グリーンブック / CD-i - 家庭用マルチメディア媒体
    • イエローブックMode2 / CD-ROM XA - CD-ROMをマルチメディアデータにより特化したCD
      • ブルーブック / CD EXTRA - CD-DA(音楽)とデータを共存させているマルチセッションCD
      • ホワイトブック / ビデオCD - CD-ROMに動画や音声などを記録
  • ベージュブック / フォトCD - コダック独自の符号化方式でデジタル化された画像のCD
  • オレンジブック / CD-WO, CD-MO, CD-R, CD-RW - 記録型CD
  • パープルブック / DDCD - 一般的なCDの2倍に当たる1.3GBの容量を持つCD

関連規格[編集]

コピーコントロールCD(CCCD)
特定規格の名ではなく、同様の特徴を持つディスクの総称である。無保証ながらも通常のCDプレイヤーで再生できることが多いため、流通などではしばしばCDとして扱われた。
DualDisc英語版
片面に音楽CD、もう片面にDVDを貼り合わせた両面の再生専用ディスク。2004年に米国の大手レコード会社が発売した(DVDフォーラムが定めた規格ではない)。CD面は正式な音楽CD規格(レッドブック)に準拠していないためCDロゴは付いておらず、メーカーは「音楽専用面」「非DVD面」など遠回しな呼び方をしている。機器によっては正常に再生できなかったり故障の原因となる可能性がある。

後継規格[編集]

  • スカーレットブック / Super Audio CD(SACD) - 音声データをCD以上の高音質で記録した次世代CD規格の一つ

CDの技術を踏まえて音質の向上、著作権管理機能が強化されたディスクが開発された。オーディオ分野で実用化されたものとしてはSuper Audio CDのほか、DVD-AudioDTS-CDが発売されたがどれもCD-DAを代替するまでの普及には至っていない。これら光ディスクはいずれも直径12 cmでCDの大きさを踏襲している。またSuper Audio CDを「次世代CD」と呼ぶことがある[20]。いずれもCDとの互換はなく、再生には専用のプレーヤーが必要である。

問題点[編集]

発売当初は劣化しないと言われていた[21]。実際には記録したデータは劣化しないが、保存方法が悪いとメディアが劣化を起こす。具体的には蒸着した反射膜の変化、基板となるポリカーボネートの変化、そしてCD-Rの場合には色素の変化の観点がある。全般として直射日光や高温・多湿を嫌う。

反射膜[編集]

現在、スパッタリング法によってアルミニウムの反射膜を形成する方法が主流となっているが、アルミニウムを用いるCDは環境にもよるが、20–30年が限度と見積られており、現在長期的な保存を可能とした製品の開発が急務となっている。その一方で、メーカー側などでは80年前後保存が可能とする指摘もある[22]。なお反射膜にを用いた場合、100年前後保存が可能と見積られているが、コストの問題など解決しなければならない課題がある。安価なものは印刷・反射層が端からはがれてきたり、水分が反射膜に浸透してアルミニウムが錆びてしまい反射の機能を失うなど、短寿命のものが多い。

色素[編集]

CD-Rでは記録面に直射日光を当て続けると色素が変化し読み込めなくなったり、質の悪い媒体の場合には蛍光灯に含まれる紫外線で変化するものもある。また高温・多湿の環境に置くと、ごく短時間でも印刷・反射層が端からはがれてくる事がある。

基板[編集]

ディスクに用いられるポリカーボネートは湿気にあうと加水分解する欠点があり、徐々に白濁していく。これにより情報を読み取るレーザーが通らなくなり、情報を読めなくなる。ディスクの寿命としては前述の反射膜や色素の寿命がよく取りざたされるが、環境によってはポリカーボネートの透明度で寿命が定まる場合もある。

なお、この欠点を悪用し開封後数週間程度で白濁するように製造された媒体もある。これにより、音楽や映像のソフトウェアを再生できる日数を制限する。

温度や湿度変化の影響が比較的少ないガラス製のCDが開発・発売され、保存性の改善が期待されている。2008年には液晶パネル用のポリカーボネートを使用したスーパー・ハイ・マテリアルCD(SHM-CD)とハイ・クオリティCD(HQCD)が開発・発売。さらにブルーレイディスクの技術を応用したブルースペックCDも開発・発売されている。

都市伝説[編集]

一部のマスメディアにおいて、コンパクトディスクを冷やすと音質が良くなると言われているが、CDに記録されている情報はデジタルであるため、ビットエラーがない限り記録内容が変質することはない。CDにおいて、ディスクの熱の影響により符号誤り率が増加することは考えにくいため、冷やしても音質には影響しない。もともと1993年にロンドンの新聞「サンデー・タイムズ」に紹介され、後に日本のテレビ番組にも紹介されそこから噂が広がってしまったのではないかとされている。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ ドリームキャスト版『GUILTY GEAR X』特典CDは盤面の絵柄によって形状が異なり、セガサターン用初回限定版『リフレインラブ ~あなたに逢いたい~』特典CDはハート型CDである。
  2. ^ 参考までにDVDの記録層は印刷面からも樹脂層からも0.6 mm、Blu-ray Discでは印刷面から1.1 mm、樹脂層から0.1 mmである。
  3. ^ 先頭の同期信号を除けば96バイト、P-Wに12バイトずつ割り当てられる。

出典[編集]

  1. ^ The history of the CD - The beginning”. Philips. 2019年1月26日閲覧。
  2. ^ コンピュータ用のデータなど、デジタル情報収録(画像や動画など)に用いられます。”. www.m-chemical.co.jp. 2019年1月26日閲覧。
  3. ^ a b *ポリグラム 最初のCD(初期・西独盤)(B級オーディオ・ファンのサイト内)
  4. ^ Sony Global -Sony History- - アーカイブ
  5. ^ 音楽配信の世界売上高、昨年CD上回る” (日本語). 日本経済新聞 (2015年4月16日). 2021年7月29日閲覧。
  6. ^ “2020年1~6月の米レコード販売、CDを逆転 1980年来初”. 日本経済新聞. (2020年9月15日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63841280V10C20A9000000/ 2021年2月26日閲覧。 
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  22. ^ 気になるCDの寿命 - 神戸新聞社